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コラム

油分による排水処理トラブルとは?ノルマルヘキサン・臭気・負荷増への対応も

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目次

「排水処理施設で油分によるトラブルが発生している」

「ノルマルヘキサン値が基準値を超えてしまい、改善命令を受けた」

「排水中の油分がスクリーンに詰まって、処理が止まってしまった」

工場から排出される油分を含む排水は、排水処理施設にさまざまなトラブルを引き起こす要因です。法令で定められた排水基準をクリアするだけでなく、悪臭の発生や気槽への負荷増大といった実務的な問題にも対応しなければなりません。

とくに近年では、環境規制の強化により、排水中の油分(ノルマルヘキサン抽出物質)に対する基準値が厳しくなっています。基準値を超過すれば行政指導の対象となり、最悪の場合は操業停止命令を受ける可能性もあります。

この記事では、油分による排水処理トラブルの原因や影響、具体的な対策方法、そして実際の対策事例まで詳しく解説します。油分による排水処理トラブルを解決し、安定した処理を実現するための情報をお届けします。

排水処理における油分トラブルとは

排水に含まれる油分は、見た目の濁りや水質悪化だけでなく、排水処理システム全体に深刻な影響を及ぼします。活性汚泥法などの生物処理では、微生物の代謝阻害や泡・浮遊物の形成など、処理能力そのものを損なうトラブルが多発します。

生物処理への悪影響

油分は排水処理の主流である活性汚泥法に対して、以下のような深刻な影響を与えます。

油分による生物処理への影響の例は以下の通りです。

  • 酸素供給の阻害:油分が水面に膜を形成し、曝気による酸素溶解が妨げられる
  • 微生物活性の低下:油分がフロックに付着し、微生物の代謝や繁殖を阻害する
  • スカム・泡の形成:油が気泡表面に集積し、破裂しにくい安定泡を形成する
  • 汚泥の浮上:油分の付着により比重が低下し、沈殿せず浮上してしまう
  • 水質指標の悪化:BOD・COD・SSなどの除去率が大きく低下する

とくに問題となるのは、油分が曝気気泡界面に集積する現象です。油分は汚泥フロックと空気の中間の疎水性を示すため、曝気気泡の周りに油分が集まり、それをフロックが取り囲んで破泡しにくい安定気泡が形成されます。

この結果、散気効率が低下し、酸素供給が追いつかなくなることで、処理機能が急激に悪化します。最悪の場合、沈殿池からスカムが流出し、放流水質基準を満たせなくなる可能性があります。

法規制とノルマルヘキサン

ノルマルヘキサン抽出物質は、水質汚濁防止法により「油分」を規制する項目として定められており、鉱油類(潤滑油、切削油などの鉱物油)と動植物油脂類(食用油脂、乳製品など)に分類されます。

ノルマルヘキサン抽出物質の排水基準は以下の通りです。

 

項目

一律排水基準

鉱油類含有量

5mg/L以下

動植物油脂類含有量

30mg/L以下

この基準値は全国一律の基準ですが、都道府県によってはさらに厳しい上乗せ基準が設定されている場合があります。また、下水道に放流する場合は、下水道法による基準も適用されるため注意が必要です。

基準値を超えると改善勧告・改善命令の発令、罰則金の支払いなどが科されます。とくに注意すべきは、継続的な違反です。改善命令に従わない場合は、最終的に操業停止命令が下され、企業活動に致命的な影響を与える可能性があります。

油を含む排水トラブルの主な発生現場

油分による排水トラブルは、以下のようなさまざまな業種で発生しています。

  • 製紙工場(板紙工場):古紙リサイクル過程での油分混入
  • 食品工場:牛乳などの乳製品・揚げ物・製菓・調理工程
  • 金属加工工場:切削油・冷却水・洗浄廃液
  • 下水処理場:家庭や飲食店などからの排水を受け入れる施設

これらの施設では、油分の種類や濃度、発生パターンが異なるため、それぞれに適した対策が必要となります。こうした油分トラブルに対しては、単に除去を行うだけでなく、油分を安定的に分散させ、事前に処理負荷を軽減するアプローチも有効です。

無臭元では、油分処理剤「無臭元OL-H2」を用いた現場導入実績があり、処理機能の安定化や臭気対策にも寄与しています。

排水に含まれる油の種類と性質

排水処理において適切な対策を講じるためには、まず油分の種類と性質を理解することが重要です。油分の種類によって処理方法も異なるため、正確な把握が不可欠です。

動植物油脂と鉱物油の違い

排水に含まれる油分は、大きく動植物油脂と鉱物油に分類されます。それぞれ性質が大きく異なるため、処理方法も使い分ける必要があります。

以下に動植物油脂と鉱物油の比較する表を参考にしましょう。

  

項目

動植物油脂

鉱物油

主な発生源

食品工場、飲食店

機械工場、ガソリンスタンド

生分解性

比較的分解しやすい

難分解性

温度特性

低温で固化しやすい

温度による変化少ない

比重

水より軽い(0.9前後)

水より軽い(0.8前後)

処理方法

微生物処理が有効

物理的・化学的処理が主体

環境への残留性

少量であれば水処理が可能

水処理センターでは処理不可能

動植物油脂は温度により固化しやすいという特性があり、配管やグリストラップで固まって閉塞の原因となります。一方、鉱物油は微量でも強い臭気を発生させ、処理が困難という問題があります。

なお、動植物油脂は比較的生分解されやすいものの、濃度が高い場合はそのまま生物処理工程に流すと処理負荷が増大するため、浮上分離や分散処理といった前処理を行ったうえで導入するのが一般的です。

油分が引き起こすトラブル

油分は排水処理施設だけでなく、配管系統にもさまざまなトラブルを引き起こします。

  
トラブル区分主な現象発生要因・結果

配管閉塞

油脂の固化により付着・閉塞

特に冬場や長距離配管で顕著

ポンプ故障

インペラーへの油付着・軸劣化

保守頻度・交換コスト増

悪臭発生

油分腐敗による硫化水素など発生

苦情・環境負荷の増加

スクリーン詰まり

油と固形物の付着・析出

ドラムスクリーン停止要因に

処理能力低下

処理効率が30~50%低下

負荷集中時に致命傷になる

脱水不良

ケーキの含水率が上昇

処理コスト・搬出量増

これらのトラブルは相互に関連しており、一度発生すると連鎖的に悪化する傾向があります。早期の対策が重要となる理由がここにあります。

油分に関する規制と除去の主要な処理方法

排水中の油分に対して適切な処理を行うには、まず法規制を正しく理解した上で、排水性状に応じた対策方法を選択することが重要です。

水質汚濁防止法における油分の排水基準

水質汚濁防止法では、事業場から公共用水域に排出される油分に対し、「ノルマルヘキサン抽出物質」として以下の一律排水基準が定められています。

 
油種

排水基準値

鉱油類

5 mg/L 以下

動植物油脂類

30 mg/L 以下

ただし、これらの基準は、1日あたりの排水量が50m³以上の特定事業場に適用されます。違反した場合には、以下のような行政処分の対象となる可能性があります。

  1. 改善勧告:都道府県知事から改善を求める勧告
  2. 改善命令:勧告に従わない場合、法的拘束力のある命令
  3. 罰則:6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
  4. 排水基準違反に対する直罰規定1年以下の懲役または100万円以下の罰金

継続的な違反や命令への不履行が続いた場合、操業停止命令や事業者名の公表といった、事業活動への重大な影響が生じる可能性もあります。

主な油分除去方法とその特徴

油分の性状(浮遊性/乳化状態など)に応じて、物理的処理・化学的処理・生物学的処理を適切に組み合わせることが効果的です。

物理的処理法(油水分離槽・浮上分離法)

物理的処理法は、油と水の比重差や性質の違いを利用して分離する方法です。前処理として用いられることが多く、以下の手法があります。

【自然浮上分離法】

  • 原理:比重差を利用して油分を浮上させ、除去
  • 設備例:グリストラップ、油水分離槽 など
  • 処理効率:30~50%程度
  • メリット:構造がシンプル、イニシャルコストが低い
  • デメリット:処理効率が低い、定期的な清掃が必須

【加圧浮上法(DAF)】

  • 原理:微細な気泡で油分に浮力を与え、浮上・除去
  • 処理効率:80~95%
  • メリット:高い処理効率、処理時間が短い
  • デメリット:装置費用やランニングコストが高めで、運転管理には専門性が必要

化学的処理法(凝集・薬剤処理)

化学的処理法は、化学薬品を使用し、油分の凝集や分散を促して、除去効率を高める方法です。

【凝集処理】

  • 使用薬剤: 無機凝集剤(PAC、硫酸バンド)や高分子凝集剤など
  • 特徴:油分を含む懸濁物質を凝集・沈殿させる
  • 適用対象:乳化油、微細な油滴
  • 処理効率:70~90%
  • 注意点:汚泥量の増加

【油分処理剤の活用】

  • 使用薬剤: 無臭元OL-H2のような油分散剤 など
  • 特徴:
    • 油分を微細に分散し、後段の生物処理の負担を軽減
    • 生物処理との相性が良好(分解促進効果)
  • 効果:即効性があり、配管内の付着防止、臭気発生抑制にも寄与

生物学的処理法(微生物による分解)

生物学的処理法は、油分を分解可能な能力の微生物を活用し、環境負荷を抑えながら処理を行う方法です。活性汚泥法などの生物処理において、適切な運転管理や微生物環境の維持ができていれば、動植物性油脂を中心とした油分の分解処理が可能です。

また、処理の安定化を目的として、処理層の微生物環境を整えるための活性微生物製剤などを活用するケースもあります。これにより、フロック形成や沈降性の改善、油分分解の効率向上などが期待できます。

ただし、処理効果の発現には、一定期間を要することもあり、即効性が求められる場合も含めて、他の方法との併用が推奨されます。

無臭元の水処理・油対策の事例

実際の現場では、複数の処理方法を組み合わせることで、より効果的な排水中の油分対策を実現しています。ここでは、無臭元が手がけた具体的な対策事例を紹介します。

某浄化センター マンホール油対策事例

【課題】 マンホール内に流入する排水中の油脂分がフロートに付着し、誤作動を引き起こす問題が発生していた。

【対策内容】

  • 使用薬剤:油分処理剤「無臭元OL-H2」
  • 添加方法:10倍希釈で使用し、20Lをポリ容器に入れて1週間にわたり点滴添加
  • 実施期間:約2.5ヶ月間

【効果】

  • フロート及び側壁への油脂付着が大幅に減少
  • 清掃時は通常の水洗い程度で除去可能に
  • フロートの誤作動が解消
  • 清掃作業の安全性が向上

薬剤添加前は槽内全体に油の付着が目立っていましたが、添加期間中はフロート及び側壁への油脂の付着は微量となり、管理上のトラブルが大幅に減少しました。

ドラムスクリーン目詰まり対策事例(合併浄化槽汚泥処理)

【課題】 合併浄化槽汚泥の増加に伴い、汚泥中のノルマルヘキサン抽出物が上昇。油の析出によりドラムスクリーンが目詰まりし、処理能力が8m³/h→4m³/hに低下していた。

【対策内容】

  • 使用薬剤:油分処理剤「無臭元OL-H2」
  • 添加方法:10倍希釈で、浄化槽汚泥に対し100~300ppmを使用。ドラムスクリーン前の計量升に添加。

【効果】

  • 処理能力が4m³/h→10m³/hに改善(2.5倍に向上)
  • 油分が分散し、スクリーン通過がスムーズに
  • 生物処理への悪影響なし
  • 処理槽内での発泡も確認されず

この事例では、油分処理剤の使用により、設備の大規模な改修なしに処理能力を大幅に改善することができました。

排水中の油分混入トラブルの解決は無臭元にご相談を

排水処理における油分トラブルは、処理施設の機能低下だけでなく、法令違反のリスクも高まります。

無臭元は、60年以上にわたる水処理薬剤の開発・製造実績を持ち、油分トラブルへの対応に特化したソリューションも数多く提供してきました。

無臭元の主力油分対策製品である「無臭元OL-H2」は、スクリーンや排水管、排水溝に付着した油分を溶解・分散化することで、処理負荷を大幅に軽減する油分処理剤です。

無臭元OL-H2の特長は以下の通りです。

  • 天然精油由来の油溶解成分が固着した油分に速やかに作用
  • 油分散成分が軟化・溶解した油分を乳化分散
  • 生物処理への影響が少ない
  • そのまま排水管などに使用可能

無臭元は、全国3,000箇所以上の下水処理場、し尿処理施設、各種工場などの排水処理施設の課題解決を支援してきた実績があり、水処理の状態に関する多角的な調査・分析による要因の特定を行い、課題ごとのソリューションを提供しています。

油分による排水処理トラブルでお困りの際は、ぜひ無臭元にご相談ください。豊富な経験と技術力に基づき、お客さま施設ごとの排水特性に応じた最適な処理方法をご提案し、現場の安定的な運転をサポートします。

無臭元へのご相談はこちらから

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