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コラム

食品工場の排水処理を安定化するためのポイントとは?法規制についても

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目次

食品工場において、製造工程から発生する排水の適切な処理は、環境保護と法令遵守、そして事業の安定的な継続の観点から極めて重要です。食品工場の排水は、BOD・CODが高く、有機物や油脂分を多く含むのが特徴で、適切に処理しなければ水質汚濁や悪臭の発生につながり、水質汚濁防止法などの規制違反による罰則や操業停止のリスクを招きかねません。

環境規制の強化により、食品工場には排水基準の厳守に加え、処理コストの削減・臭気対策・安定した運転管理が一層求められています。

本記事では、食品工場排水の特徴から法規制、効果的な処理方法まで、排水処理に関する実務的な知識を体系的に解説します。施設管理者や環境管理担当者の皆さまが、自社の排水処理を評価し、改善するための指針としてご活用ください。

食品工場排水の特徴と課題

食品工場から排出される排水は、製造する食品の種類や工程により異なる特徴があり、一般的な工場排水とは異なる処理上の課題を抱えています。有機物や油脂分を多く含み、濃度変動が大きいのが特徴で、季節や製造品目の変更によっても水質は変動します。

中小規模の食品工場では、1日あたりの排水量がおおむね50〜500m³程度の処理規模が多い一方、大規模工場では数千㎥規模の排水が発生することもあります。そのため、排水量に応じた効率的な処理システムの構築と、負荷変動に対応できる柔軟な運転管理が求められます。

食品工場排水に含まれる主な成分

食品工場排水には、製造工程に由来する様々な成分が含まれており、それぞれが排水処理に異なる影響を与えます。

成分

主な発生源

排水処理への影響

有機物(糖類、タンパク質、でんぷんなど)

原料の洗浄水、製造工程の廃液

BOD・CODを上昇させ、生物処理への負荷を増大

油脂分

食肉・乳製品加工、調理工程

浮上物やスカム形成、配管閉塞、生物処理阻害

懸濁物質(SS)

野菜くず、肉片、残渣

沈殿槽での汚泥発生量増加、後段処理負荷の増大

窒素・リン

原料や製品由来成分(タンパク質、調味料など)

富栄養化の原因となり、高度処理が必要

塩分

調味料、漬物・醤油・水産加工工程など

生物処理阻害、処理水再利用の制約

これらの成分は相互に影響し合い、処理を複雑にします。たとえば、油脂分が多い排水では、微生物の働きが阻害され、有機物の分解効率が著しく低下することがあります。また、排水温度の変動(10℃以下で活性低下、40℃以上で阻害)も微生物の働きに影響するため、適切な温度管理が必要となります。

業種別にみる排水の特性

食品製造業は業種により排水の特性が大きく異なるため、それぞれに適した処理方法の選定が重要です。

食肉・水産加工業

食肉・水産加工業では、血液や内臓処理水により高濃度の有機物と窒素成分を含む排水が発生します。タンパク質や脂肪の分解によりアンモニア態窒素が高く、臭気問題も発生しやすいという特徴があります。処理においては、油脂分の前処理除去と、高負荷に対応できる生物処理システムが不可欠です。

乳製品製造業

乳製品製造業の排水は、乳脂肪や乳タンパクを多く含みます。とくに、チーズ製造の副産物であるホエー(乳清)は高BODであり、適切な処理が必要です。さらに、排水のpH変動も大きく、酸性からアルカリ性まで幅広い範囲で変動するため、中和処理を含めた総合的な対策が求められます。

飲料製造業

清涼飲料やアルコール飲料の製造では、糖分を多く含む排水が発生します。洗瓶工程からのアルカリ排水や、製品切り替え時の高濃度洗浄水が間欠的に発生するため、流入負荷の平準化と、負荷変動に強い処理システムの構築が重要となります。

調味料・発酵食品製造業

醤油、味噌、酢などの発酵食品製造では、高塩分かつ窒素濃度の高い排水が発生します。塩分は通常の微生物の働きを阻害するため、高塩分環境に適応した微生物の育成や、希釈による塩分濃度の調整など、特殊な対策が必要となります。

食品工場における油脂混入の影響と対策

食品工場排水に含まれる油脂は、排水処理システム全体に影響を与える課題です。

主な影響は、以下のとおりです。

  • スカム形成による処理槽表面の閉塞
  • 微生物への酸素供給阻害による処理機能低下
  • 汚泥の浮上・流出による処理水質の悪化
  • 配管内での固化による閉塞トラブル
  • 悪臭の発生源となる脂肪酸の生成

これらの問題に対しては、前処理での油脂除去が基本となりますが、完全な除去は困難な場合が多く、生物処理槽での対策も重要です。具体的には、下記などが挙げられます。

  • 油脂分解能力を持つ活性微生物製剤の活用
  • 処理工程に合わせた薬剤処理(分散・分解)

無臭元の油分処理剤「無臭元OL-H2」は、油脂の分解・除去を助け、スカム形成を防止し、安定処理をサポートします。

食品工場に適用される排水基準と法規制

食品工場の排水処理において、法規制の理解と遵守は事業継続の大前提となります。水質汚濁防止法を中心に、様々な法令や条例により排水基準が定められており、違反した場合には罰則や操業停止などの厳しい処分が科される可能性があります。

ここでは、食品工場が遵守すべき主要な法規制と排水基準について、実務的な観点から整理します。

水質汚濁防止法による一律排水基準

水質汚濁防止法では、すべての特定事業場に適用される一律排水基準が定められています。食品工場に関連する主要な項目と基準値は以下のとおりです(参考:環境省「一般排水基準」)。

項目

許容限度

備考

pH

5.8以上8.6以下(海域以外)

5.0以上9.0以下(海域)

中和処理により調整可能

BOD

160mg/L(日間平均 120mg/L)

生物処理により低減

COD

160mg/L(日間平均 120mg/L)

総量規制地域では別途規制あり

SS(懸濁物質)

200mg/L(日間平均 150mg/L)

沈殿・ろ過により除去

n-ヘキサン抽出物質(鉱油類)

5mg/L

油水分離器などで対応

n-ノルマルヘキサン抽出物質(動植物油脂類)

30mg/L

油脂対策が必須

窒素含有量

120mg/L(日間平均 60mg/L)

脱窒処理が必要

リン含有量

16mg/L(日間平均 8mg/L)

凝集沈殿などで除去

※「大腸菌群数」は水質汚濁防止法の一律排水基準には含まれませんが、下水道放流や一部自治体の条例で規定されている場合があります。

これらはあくまで全国一律の最低基準であり、実際の運転管理では、より厳しい自主基準を設定することが推奨されます。

【自治体独自の上乗せ基準】

都道府県や市町村では、地域の水環境保全のために上乗せ基準を設定している場合があります。たとえば、東京都の一部地域では食品製造業に対して BOD 25mg/L、SS 30mg/Lといった厳しい基準が適用されます。

そのため、事業場が立地する都道府県・市町村の条例・協定内容を必ず確認し、最も厳しい基準値に対応できる体制を整える必要があります。

関連記事:BOD(生物化学的酸素要求量)とは?排水基準や高くなる理由、低減対策を紹介

関連記事:排水処理におけるSS(懸濁物質)とは?原因・除去方法・薬剤対策をわかりやすく解説

総量規制制度の概要

閉鎖性水域(東京湾、伊勢湾、瀬戸内海)に排水する事業場には、水質汚濁防止法に基づき、濃度規制に加えて総量規制が適用されます(参考:環境省「化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減基本方針(東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海)の策定について」)。

総量規制では、COD、窒素、リンの1日あたりの排出総量が規制され、以下の計算式により許容排出量が算定されます。

許容排出量(kg/日)= C × Q × 10⁻³

C:業種別の排出基準濃度(mg/L)

Q:特定排出水量(m³/日)

対象は、日平均排水量50m³以上の事業場です。総量規制対象事業場には、自動計測器による連続監視や定期的な報告義務が課せられています(参考:東京都環境局「第9次水質総量削減計画及び総量規制基準」)。

重要なポイントは、濃度基準を満たしていても、排水量が多い場合は総量超過となる可能性があることです。そのため、用水使用量の削減や処理水の再利用、節水設備の導入など、総合的な水管理が不可欠です。

下水道法による除害施設の設置

食品工場が公共下水道に排水する場合、下水道法により除害施設の設置が義務付けられています。

下水道への排除基準は自治体によって異なりますが、一例として東京都下水道局の基準(23区内)は以下のとおりです(参考:東京都下水道局「下水排除基準(東京23区内)」)。(※対象者・対象物質については、左記リンク先より詳細をご確認ください。)

  • pH:5を超え9未満 (5.7を超え8.7未満)
  • BOD:600mg/L未満(300mg/L未満)
  • SS:600mg/L未満(300mg/L未満)
  • n-ヘキサン抽出物質:鉱油類 5mg/L、動植物油脂類 30mg/L
  • 温度:45℃未満(40℃未満)

これらの基準を超える排水は、そのまま下水道へ流せないため、除害施設による前処理が必要です。とくに、グリストラップ(油水分離槽)の設置は油脂排水が多い食品工場(食肉・乳製品・惣菜・水産加工など)でも必須とされ、自治体の条例や要綱で設置や管理基準が定められており、対象となる施設では適合が求められます。工程によって油脂排水が少ない業種(例:飲料・製菓工場)では、除害施設の内容が個別協議されるケースもあります。

グリストラップは、排水量や油脂濃度に応じて容量設計し、自治体ごとの規制に基づき、たとえば、受カゴは毎日、浮上油は数日に一度、沈殿物は週1回以上を目安に清掃し、自治体の指導要綱に従って記録保管を含めた適正管理を行うなどの対応が必要になります。高温排水をそのまま流入させると分離効率が落ちるため、40℃以下に冷却するなどの運用管理も重要です。

さらに、下水道使用料は排水水質により加算される仕組みがあり、BODやSSが高い場合、自治体によっては、排水水質に応じた「水質使用料」(加算制度)(※詳細は所在地の自治体基準をご確認ください。)を設けており、割増料金が適用されることもあります。適切な前処理を行うことで、水質基準の遵守に加え、臭気・閉塞トラブル防止や下水道使用料の削減にもつながります。

食品工場における排水処理の仕組みと流れ

効果的な排水処理を実現するためには、各処理工程の役割を理解し、排水の特性に応じた最適な処理フローを構築することが重要です。食品工場では、物理的処理、化学的処理、生物学的処理を組み合わせた総合的なシステムが一般的に採用されています。

ここでは、食品工場における標準的な処理フローを解説します。無臭元は、こうした処理フローの中で、とくに薬剤や活性微生物製剤を活用したソフトな改善手段を得意としています。

標準的な排水処理フロー

食品工場における一般的な排水処理は、以下の7つの工程で構成されます。

  1. スクリーン・沈砂池:粗大な固形物や砂を除去
  2. 流量調整槽:排水の量と質を均一化
  3. 油水分離(グリストラップ):浮上油脂を除去
  4. 中和槽:pHを調整
  5. 生物処理槽(活性汚泥法など):有機物を微生物により分解
  6. 沈殿槽:汚泥を沈降分離
  7. 消毒・放流槽:処理水を消毒して放流

各工程は相互に関連しており、前段の処理が不十分だと後段に過大な負荷がかかり、システム全体の処理効率が低下します。たとえば、油脂除去が不十分な場合、生物処理槽でスカムが発生し、処理機能が著しく低下する可能性があります。

処理フローの設計においては、排水の性状、排水量の変動パターン、放流先の規制基準などを総合的に考慮し、必要に応じて高度処理(砂ろ過、活性炭吸着、膜処理など)を追加することも検討すると良いでしょう。

前処理工程の重要性

前処理工程は、生物処理への負荷を軽減し、安定的な処理を実現するための重要な役割を担っています。とくに油脂除去の徹底は食品工場にとって不可欠です。

グリストラップによる油脂除去

グリストラップは、比重差を利用して油脂分を分離・除去する装置で、食品工場には欠かせない設備です。効果的な油脂除去のためには、以下の管理ポイントが重要となります。

  • 滞留時間の確保(最低30分以上)
  • 適切な容量設計(ピーク時排水量の2~3倍が目安)
  • 定期的な浮上油の除去(1日1回以上)
  • 堆積汚泥の引き抜き(週1回程度)
  • 薬剤処理の活用:油脂分解や分散の促進・補助

また、排水温度は40℃以下に冷却して流入させることが望ましいです。高温排水は油脂を液状化させ、分離効率を低下させるために、除去性能が著しく落ちる可能性があります。

加圧浮上分離法

油脂濃度が高い場合や、微細な懸濁物質を多く含む排水には、加圧浮上分離法(DAF:Dissolved Air Flotation)が効果的です。

加圧浮上分離法の原理と特徴は以下のとおりです。

項目

内容

原理

加圧下で空気を水に溶解させ、減圧時に発生する微細気泡により汚濁物質を浮上分離

除去対象

油脂分、SS、コロイド状物質

薬剤併用

凝集剤添加により除去率向上(PAC、高分子凝集剤など)

処理時間

数十分程度(グリストラップより短時間で効率的)

加圧浮上分離装置は、設備費用は高めですが、処理効率が高く、省スペースで設置可能なため、中規模以上の食品工場で広く採用されています。

生物処理による有機物の分解

生物処理は、微生物の働きで排水中の有機物を分解するための主要な工程のひとつであり、食品工場の排水処理の安定化に欠かせません。

活性汚泥法の原理と運転管理

活性汚泥法は、好気性微生物群(活性汚泥)により有機物を酸化・分解する最も一般的な方法です。処理効率を維持するための主要な管理指標は以下のとおりです。

管理項目

標準値

管理のポイント

MLSS(活性汚泥濃度)

2,000~4,000mg/L(長時間曝気法では3,000~6,000 mg/L)

高すぎると酸素不足、低すぎると処理不良

SV30(30分沈降率)

20~40%

汚泥の沈降性を示す指標

SVI(汚泥容量指数)

50~150mL/g

100以下が良好、200以上でバルキング傾向

DO(溶存酸素)

1.5~2.0 mg/L(運転範囲1~3 mg/L)

低いと処理不良、高いと電力費増大

BOD-SS負荷(F/M比)

0.1~0.4kg-BOD/kg-MLSS・日

適正範囲を維持

水温

15~35℃

10℃以下で活性低下、40℃以上で阻害、処理効率の季節変動

活性汚泥法では、微生物の状態を常に監視し、負荷変動に応じた運転調整が不可欠です。とくに、食品工場では排水の質・量が大きく変動するため、以下の対応が安定運転に不可欠です。

  • 流量調整槽で流入負荷を平準化
  • 栄養塩(窒素・リン)のバランス調整(目安 BOD:N:P=100:5:1)
  • pH管理(6.5~7.5の範囲で維持)
  • 返送汚泥量の調整
  • 余剰汚泥の定期的な引き抜き

処理が不安定な場合には、活性微生物製剤の使用により、立ち上げや負荷変動への対応を支援できます。

関連記事:バルキングとは?排水処理の沈降トラブルの原因や対策を解説

嫌気性処理の導入メリット

食品工場排水の中でも、高濃度かつ大規模な事業場では、前段に嫌気性処理を導入することで、省エネルギー化や処理コスト削減が期待できます。

嫌気性処理の主なメリット・留意点は以下のとおりです。

<主なメリット>

  • 曝気動力が不要(電力費を削減)
  • 余剰汚泥が少ない(好気性処理より大幅に削減)
  • 高濃度排水への適用が可能
  • 条件によっては、発生するバイオガス(メタン)を回収し、燃料や発電に利用できる(主に大規模工場での事例)

<留意点>

  • 嫌気処理単独では処理水質が不十分なため、後段に好気性処理を組み合わせる必要があります。
  • 運転には35℃前後の温度管理が不可欠です。
  • 立ち上げに2〜3ヶ月程度かかり、安定運転には専門的な管理が求められるため、導入には十分な検討が必要です。

食品工場における排水処理量別の対策について

排水量の規模によって、導入可能な処理方式や薬剤使用の必要性、臭気対策のレベルが大きく変わります。ここでは、食品工場における一般的な排水処理量別の考え方を整理し、最適な対策や計画・運転管理の参考となる情報を提供します。

小規模施設(おおむね50m³/日未満)の対策

小規模施設では、設備投資と運転管理の簡素化が重要な課題となります。

処理項目

推奨される対策

備考

前処理

グリストラップ+手動管理

1日1回の浮上油除去で対応可能

生物処理

接触酸化法、回分式活性汚泥法

負荷変動に強く、管理が容易

薬剤使用

必要に応じてスポット使用

処理不良時の緊急対応として活用

臭気対策

局所排気+消臭剤散布

発生源を限定して対策

汚泥処理

外部委託処理

発生量が少なく、脱水設備を導入すると規模に比して割高になる場合が多い

小規模施設では、シンプルな処理システムと薬剤の効果的な活用により、安定的な処理を実現することが可能です。とくに、負荷変動が大きい場合は、活性微生物製剤の定期添加により、処理の安定化が期待できます。

中規模施設(50~500m³/日)の対策

中規模施設は食品工場で最も一般的な規模帯であり、効率的な処理システムが求められます。

処理項目

推奨される対策

備考

前処理

自動油脂除去装置+加圧浮上

連続処理により安定除去

生物処理

標準活性汚泥法+栄養塩管理

自動制御により省力化

薬剤使用

定常的な添加+注入

水質に応じた最適制御

臭気対策

生物脱臭装置+薬剤併用

複合的な対策で確実に制御

汚泥処理

濃縮+脱水設備

ランニングコスト削減

この規模では、薬剤の計画的な使用による処理の最適化が重要です。無臭元の「メルトラーゼ」シリーズなどの活性微生物製剤を継続的に使用することで、処理効率の向上や汚泥発生量の抑制が可能です。

大規模施設(500m³/日以上)の対策

大規模施設では、高度な処理技術の導入と、総合的な管理システムの構築が必要となります。

処理項目

推奨される対策

備考

前処理

多段式油脂除去+膜分離

確実な前処理で後段負荷を軽減

生物処理

嫌気・好気処理+高度処理

エネルギー回収と高度処理の両立

薬剤使用

総合的な薬剤管理システム

複数薬剤の最適組み合わせ

臭気対策

密閉化+高度脱臭システム

強力な臭気制御を実現

汚泥処理

消化+脱水+資源化

汚泥の減量化と有効利用

大規模施設では、処理水の再利用や汚泥の資源化など、循環型システムの構築も視野に入れた計画が重要です。また、24時間体制での監視と、異常時の迅速な対応体制の構築も不可欠となります。

食品工場の排水処理における汚泥処理

排水処理に伴い発生する汚泥の適切な処理は、システム全体の安定運転と処理コストに大きく影響する重要な要素です。汚泥処理が不適切な場合、処理水質の悪化や臭気の発生、処分費用の増大などの問題が生じます。

汚泥の種類と発生量

食品工場の排水処理で発生する汚泥は、工程ごとに以下のように分類されます。

汚泥の種類

発生源

性状

初沈汚泥

最初沈殿池、前処理工程

比重が大きく沈降性良好、腐敗しやすい

余剰汚泥

生物処理工程

微生物主体、含水率が高い(98~99%)

凝集汚泥

凝集沈殿処理

薬品を含み脱水性良好

食品工場では、原料由来の有機物が多いため、汚泥発生量が他業種に比べて多い傾向があります。

汚泥の性状は季節により変動し、夏季は腐敗が進みやすく、冬季は脱水性が悪化する傾向があります。このため、季節に応じた薬剤の調整や処理条件の最適化が必要です。

効率的な汚泥処理方法

汚泥処理の基本は、減容化と安定化です。以下の処理により、処分費用の削減と取り扱いの改善を図ります。

汚泥濃縮による減容化

汚泥濃縮は、重力沈降や機械的な方法により汚泥中の水分を除去し、容積を削減する工程です。

濃縮方法

原理

濃縮後含水率

特徴

重力濃縮

自然沈降

96~97%

設備費安価、処理時間長い

遠心濃縮

遠心力による分離

94~96%

連続処理可能、電力費高い

浮上濃縮

気泡による浮上分離

95~96%

余剰汚泥に適する

ベルト濃縮

ろ過による脱水

93~95%

薬品使用量少ない

濃縮により汚泥容積を削減でき、後段の脱水工程の効率も向上します。薬剤(高分子凝集剤)の適切な使用により、濃縮効率を向上させることが可能です。

消化処理による安定化と減量化

嫌気性消化は、汚泥中の有機物を嫌気性微生物により分解し、汚泥の減量化と安定化、臭気低減が可能です。

また、メタンガスを回収して燃料として利用できる場合もありますが、導入は主に中規模以上の工場に限られます。

滞留期間は20〜30日程度で、設備導入には費用対効果を含めた検討が必要です。

汚泥の有効利用と最終処分

環境負荷の低減と処分費用の削減のため、汚泥の有効利用が推進されています。

有効利用方法

処理内容

メリット

課題

堆肥化

好気性発酵により堆肥化

農業利用可能、処分費削減

重金属・塩分の管理必要

セメント原料化

セメント製造の原燃料として利用

完全な資源化、処理の安定性

受入基準が厳しい

炭化

高温処理により炭化物製造

燃料や土壌改良材として利用

設備投資が高額

メタン発酵

嫌気性消化によるガス回収

エネルギー回収、汚泥減量化

運転管理が複雑

食品工場の汚泥は有機物含有率が高いため、堆肥化に適していますが、一方で塩分濃度や油脂分による品質低下に注意が必要です。最終処分する場合も、含水率を85%以下にすることで、処分費用を低減できます。

無臭元の排水処理技術と食品工場への適用

無臭元は60年以上にわたる技術と現場経験の蓄積により、食品工場の多様な排水処理課題にも対応する総合的なソリューションを提供しています。現場の特性に応じた製品と導入方法の組み合わせによる独自のアプローチをご提供し、処理効率の向上と処理の安定化を支援します。

活性微生物製剤「メルトラーゼ」による処理機能向上

「メルトラーゼ」シリーズは、食品工場排水に含まれる有機物を効率的に分解させるのに役立つ活性微生物製剤です。

とくに「メルトラーゼSW」はメルトラーゼSの強化品で、以下の効果が期待できます。

  • 有機物の分解促進による処理水質の向上
  • 悪臭の原因となる物質(硫化水素、低級脂肪酸類、アルデヒド類など)の分解
  • 汚泥の沈降性改善
  • 処理の安定化

実際の効果は排水の性状や処理条件により異なるため、製品の詳細についてご希望の場合はお問い合わせください。

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循環運転技術の応用

循環運転は、処理水の一部を原水槽へ返送して負荷を平準化する運転方式で、食品工場を含む排水処理で広く活用されています。

無臭元では、この循環運転に活性微生物製剤「メルトラーゼ」を組み合わせることで、相乗効果を引き出す独自の応用技術を確立しています。

循環運転の原理とメリットは以下のとおりです。

項目

内容

基本原理

処理水の一部を原水槽に返送し、流入負荷を平準化

希釈効果

ピーク負荷を抑制

微生物の活性化

返送により馴養された微生物を再利用

薬剤効果の向上

メルトラーゼが槽内で均一に行き渡り、効果を持続

以下の効果が実証されています。(※導入事例のデータであり、条件により変動します。)

  • 処理水BODの低減(30~40%改善)
  • 汚泥沈降性の改善(SVI値20~30%低下)
  • 薬剤使用量の削減(15~20%削減)
  • 負荷変動への対応力向上

この手法は、既存設備の改造を最小限に抑えながら処理能力を向上させることができるため、設備投資を抑制したい工場に最適なソリューションです。

幅広い業界での実績

無臭元の排水処理技術は、全国約3,000箇所の事業場で採用されており、食品工場においても豊富な実績があります。

主な導入実績と効果

業種

課題

導入製品

ビール工場

高濃度有機排水の処理不良

メルトラーゼSW+循環運転

乳製品工場

油脂によるスカム発生

無臭元OL-H2

食肉加工場

臭気苦情の多発

ムシュウゲンLシリーズ

調味料工場

高塩分による処理阻害

メルトラーゼK-S(耐塩性)

飲料工場

季節変動による処理不安定

メルトラーゼSW(定期添加)

※いずれも参考事例であり、効果は工場条件や排水性状など適用環境によって変動します。

無臭元は「1クライアント1ソリューション」を掲げ、導入前の水質分析から試験運転、本格導入後のフォローまで一貫したサポートを行っています。とくに、薬剤の最適化と運転ノウハウの提供により、設備を新設せずとも安定処理を長期的に維持できるソリューションもご用意しています。

導入事例:澱粉製造工場での排水処理による臭気抑制

北海道の澱粉製造工場では、M-DOCコントロールシステムを導入。運転データの可視化と工程の見直し(負荷の平準化や運転条件の最適化 等)に、活性微生物製剤の適正投与・投与制御を組み合わせることで、排水処理の効率を高めました。

従来の排水処理では、高濃度の有機物を含む排水の処理に多くの電力を消費していましたが、活性微生物製剤の投入により処理効率が向上しました。結果として、電力使用量を39%削減することに成功し、この取り組みは「北国の省エネ・新エネ大賞」を受賞しました。

臭気についても、硫化水素やアンモニアなどの発生が大幅に抑制され、作業環境の改善と近隣への影響軽減を同時に達成しています。

食品工場の排水処理でお困りの際は無臭元へご相談ください

食品工場の排水処理は、製造品目の多様化、環境規制の強化、処理コストの削減要求など、様々な課題に直面しています。適切な処理システムの構築と運転管理により、これらの課題を解決し、持続可能な事業運営を実現することにつながります。

本記事で解説したとおり、食品工場排水の特性を理解し、法規制を遵守しながら、効率的な処理を行うためには、以下のポイントが重要となります。

  • 排水性状に応じた適切な処理フローの構築
  • 前処理による油脂・懸濁物質の確実な除去
  • 生物処理の最適化と安定運転の維持
  • 排水量規模に応じた現実的な対策の選定
  • 汚泥の減量化と有効利用の推進

無臭元の食品工場向けソリューション

無臭元は、60年以上にわたる水処理・消臭技術の実績をもとに、薬剤と微生物製剤を活用したソフトアプローチを中心に、食品工場の課題解決を支援しています。代表的なソリューションは以下のとおりです。

製品カテゴリ

主な製品

対応する課題

活性微生物製剤

メルトラーゼシリーズ

処理効率向上、汚泥削減、臭気抑制など

油分処理剤

無臭元OL-H2

スカム防止、油脂分解促進

消臭剤

ムシュウゲンLシリーズ、ムシュウゲンDシリーズ

悪臭低減、作業環境改善

沈降剤

無臭元シュアー100K-S

汚泥の沈降促進、処理効率の安定化

凝集剤

各種無機・有機凝集剤

SS除去、リン除去、色度改善

pH調整剤

各種調整剤

pH安定化、処理効率最適化

これらの製品・技術を組み合わせることで、お客さまの既存設備を活かしながら最適な改善策をご提案します。

導入から運用までの充実したサポート体制

無臭元では、以下のステップで確実な課題解決を支援します。(※記載は一例であり、お客さまのご状況に応じて柔軟に対応させていただきます。)

  1. 現状調査・分析:排水性状の分析と処理プロセスの評価
  2. ラボ試験:最適な薬剤選定と処理条件の検討
  3. 実機試験:実際の排水での効果確認と条件最適化
  4. 本格導入:改善提案と薬剤供給体制の構築
  5. 継続的フォロー:定期確認と改善提案による長期安定化

食品工場の排水処理における課題は、季節変動、製造品目の変更、設備の老朽化など、時間とともに変化します。無臭元は、これらの変化に柔軟に対応し、常に最適な処理を維持できるよう、継続的な技術支援を提供します。

排水処理の改善により、法令遵守はもちろん、処理コストの削減、臭気問題の解決、企業イメージの向上など、多面的なメリットが期待できます。食品工場の排水処理でお困りの際は、ぜひ無臭元にご相談ください。豊富な経験と確かな技術力で、お客さまの課題解決に貢献いたします。

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