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コラム

沈殿池で汚泥が浮く原因とは?汚泥浮上トラブルのメカニズムと対策方法を詳しく解説

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目次

汚泥浮上は、下水処理場や産業排水処理施設で頻発する重大なトラブルです。沈殿槽での固液分離がうまくいかず、処理水質の悪化や悪臭、放流基準違反などさまざまな問題を引き起こします。

汚泥浮上の原因は脱窒現象、過曝気、汚泥の腐敗、放線菌の異常増殖など多岐にわたり、現場ごとに異なる要因が複雑に絡み合って発生します。

本記事では、それぞれの原因の見極めから、緊急時の応急処置、改善対策、再発防止に向けた対応、そして効果的な薬剤の活用方法までを、詳しく解説します。

汚泥浮上とは?固液分離障害の症状と影響

汚泥浮上は、沈殿槽において本来沈降すべき汚泥が浮上してしまう現象を指します。正常な状態では、活性汚泥は沈殿槽で沈降し、上澄み液として清澄な処理水が得られますが、汚泥浮上が発生すると処理水質が著しく悪化します。

この現象は、単なる見た目の問題ではなく、処理施設全体の運転に深刻な影響を及ぼす重要な課題です。適切な対策を講じなければ、放流水質基準の違反や周辺環境への悪影響につながる可能性があります(参考:環境省「悪臭防止法の概要」)。

汚泥浮上の典型的な症状

汚泥浮上が発生すると、以下のような症状が現れます。

  • 水面のスカム
    • 沈殿槽での視覚的な変化として、まず目につくのが水面に浮遊する汚泥の塊(スカム)です。
    • これらは茶褐色から黒色まで、原因によってさまざまな色を呈します。また、処理水の透明度が著しく低下し、SS(懸濁物質)濃度が上昇します。
  • 汚泥界面の不明瞭化
    • 運転管理面では、汚泥界面が不明瞭になり、適切な汚泥引き抜き管理が困難になります。
  • 悪臭の発生
    • 浮上汚泥が水面で腐敗し、硫化水素やメチルメルカプタンなどの悪臭物質が発生し、作業環境の悪化や周辺地域への影響が懸念されます。

これらの症状は、処理施設の安定運転における重要な警告サインとなります。早期に発見し、適切な対応を取ることが、被害を最小限に抑える鍵となります。

汚泥浮上が引き起こすトラブル

汚泥浮上は、処理施設運営に以下のような深刻な影響を及ぼします。

  • 処理水質の悪化
    • 浮上汚泥が処理水に混入することで、BOD・COD・SSなどの水質指標が悪化し、放流水質基準を超過するリスクが高まります。これにより環境規制への違反につながり、行政処分の対象となる場合もあります。
  • 悪臭の発生と近隣からの苦情
    • 浮上汚泥が水面で腐敗することにより、硫化水素などの悪臭物質が発生します。これらの物質は、極めて低い濃度でも強烈な臭気を放つため、周辺住民からの苦情につながることがあり、社会的な問題に発展する可能性があります。とくに硫化水素は、悪臭防止法により特定悪臭物質22物質の一つに指定されており、酸素欠乏症等防止規則では10ppm以下、労働安全衛生法の作業環境測定基準では管理濃度1ppmという基準が設けられています(参考:e-gov法令検索「酸素欠乏症等防止規則」)。
  • 後処理設備への負荷増加
    • SSを多く含む処理水が後段のろ過設備や吸着塔に流入すると、ろ材の閉塞や吸着能力の劣化が早まり、設備の早期劣化や運転効率に悪影響を及ぼします。
  • 汚泥系統の負荷増大
    • 汚泥処理系統への影響として、正常な汚泥循環が妨げられることで、余剰汚泥の引き抜きや濃縮工程にも悪影響を与えます。これは、処理施設全体の物質収支を乱し、安定運転を困難にする要因となります。

汚泥浮上の主な原因と発生メカニズム

汚泥浮上の原因を正確に把握することは、効果的な対策を講じるための第一歩です。主な原因として、以下の4つに分類されます。

  1. 脱窒反応による浮上
  2. 過曝気による汚泥フロックの解体
  3. 汚泥腐敗によるガス発生
  4. 放線菌の異常増殖による浮上

これらはそれぞれ異なるメカニズムで汚泥浮上を引き起こすため、原因に応じた対策が必要です。

脱窒による汚泥浮上

脱窒反応による汚泥浮上は、最も一般的な原因の一つです。活性汚泥法において、硝化反応により生成された硝酸性窒素が、沈殿槽の無酸素状態で脱窒反応を起こし、窒素ガスが発生します。

発生メカニズムは、沈殿槽に流入した汚泥中で脱窒菌が硝酸性窒素(NO₃⁻)を還元する過程で発生する窒素ガス(N₂)が汚泥に付着し、浮上を引き起こすという流れです。

【発生メカニズムの流れ】

  1. 硝化反応:曝気槽内でアンモニア性窒素が硝酸性窒素へと酸化される
  2. 無酸素環境への移行:沈殿槽内では酸素が供給されず、嫌気状態となる
  3. 脱窒反応の進行:脱窒菌が硝酸性窒素を窒素ガス(N₂)へと還元
  4. ガスの付着・浮上:発生した微細なN₂ガスが汚泥フロックに付着し、浮力によって浮上

脱窒による浮上は、とくに以下の条件で発生しやすくなります。

  • 水温が20℃以上の高温期(微生物活性が高まる)
  • 硝化が十分に進行している(硝酸性窒素濃度が5mg/L以上)
  • 沈殿槽での滞留時間が長い
  • 活性汚泥濃度が高い
  • DO(溶存酸素)濃度が低い(エアレーションタンク出口で1.0mg/L未満)

また、この浮上現象は1日中継続するわけではなく、特定の時間帯(多くの場合午後)に集中する傾向があります。これは、日中の気温上昇に伴って微生物活性が上がること、流入水量の変動によって沈殿槽での滞留時間が変化することなどが要因です。

過曝気による汚泥解体

過剰な曝気は、活性汚泥のフロック構造を破壊し、汚泥の沈降性を悪化させます。これは、微生物の自己酸化(エンドジェネシス)が進行することで、汚泥が脆く、微細なピンフロック状になるためです。汚泥が軽くなることで、わずかな水流でも浮上しやすくなり、固液分離が困難になります。

過曝気の判断基準として、以下の指標を確認することが重要です。

  • DO(溶存酸素)濃度が常時3mg/L以上
  • SVI(汚泥容量指標)が50mL/g以下
  • 汚泥の色が黄土色~灰褐色
  • MLSS濃度の低下傾向
  • 処理水の見た目は良好だが、微細なフロックの混入あり

過曝気による汚泥解体は、省エネルギーの観点からも避けるべき運転状態です。適切な曝気管理により、処理性能の維持とエネルギー効率の向上を両立させることができます。

腐敗による汚泥浮上

汚泥の腐敗は、嫌気状態が長時間続くことで発生します。腐敗により発生するガス(メタン・硫化水素など)が汚泥粒子に付着し、浮上を引き起こします。

<汚泥腐敗の主な原因>

  • 沈殿槽での汚泥滞留時間が過度に長い
  • 汚泥返送量が不足している
  • 沈殿槽底部の汚泥掻き寄せ機の故障
  • デッドスペースへの汚泥の堆積
  • 流入下水量の急激な減少

<汚泥腐敗による浮上の特徴>

  • 浮上汚泥が黒色または濃灰色に変色
  • 硫化水素臭が強く、作業環境に悪影響
  • pHの低下傾向
  • 顕微鏡観察で菌の活動が乏しく、細胞破壊が進んでいる

腐敗浮上は「部分的なデッドスペース」で進行しやすく、沈殿池の死水域の解消や返送汚泥の管理強化が効果的な対策となります。

放線菌による汚泥浮上

放線菌(Nocardia属やMicrothrix parvicella)の異常増殖により、糸状菌が水面に泡状のスカムを形成し、汚泥浮上とスカム発生を引き起こします。

この現象は、糸状性バルキングの一形態としても位置づけられます。

放線菌増殖の条件として、以下が挙げられます。

  • 中温(水温が10〜20℃)
  • 油脂含有排水の流入(食品・化学工場など)
  • SRT(汚泥滞留時間)が長い(10日以上)
  • 低負荷運転が続いている
  • 低F/M比(0.05kg-BOD/kg-MLSS・日以下)

放線菌による浮上の特徴は以下のとおりです。

  • 水面に茶褐色で安定した泡状スカム
  • 消泡剤の効果が限定的
  • 顕微鏡で長く枝分かれした糸状菌構造を確認可能

浮遊汚泥量が多く、界面が不安定汚泥浮上の原因調査と診断方法

適切な対策を講じるためには、汚泥浮上の原因を正確に特定することが不可欠です。ここでは、現場で実施可能な調査方法を紹介します。

水質分析による原因特定

各種水質項目の測定により、浮上原因を推定できます。以下の表に、原因別の特徴的な数値をまとめました。

    

測定項目

脱窒浮上

過曝気

腐敗

放線菌

硝酸性窒素

高い(5mg/L以上)

通常(2〜4mg/L)

低い

通常

DO(曝気槽)

通常(1~3mg/L)

高い(3mg/L以上)

低い(1mg/L以下)

通常

pH

通常(6.5~7.5)

やや高い(7.5以上)

低い(6.5未満)

通常

ORP

正の値(+100mV以上)

高い正の値(+200mV以上)

負の値(-100mV以下)

通常

汚泥の色

茶褐色

黄土色

黒色

茶褐色~泡立ち

SVI

100~150mL/g

50mL/g以下

200mL/g以上

150~250mL/g

このような定量的指標の組み合わせで原因の絞り込みが可能です。ただし、複数の原因が重なっている場合もあるため、継続的なモニタリングが重要です。

顕微鏡観察(検鏡)による診断

顕微鏡観察は、汚泥の状態を直接確認できる有効な方法です。観察のポイントは以下のとおりです。

  • フロック構造の状態
    • 正常:汚泥は密で丸みを帯びたフロックを形成
    • 過曝気:の細かく分散したピンフロック
    • 腐敗:崩れた黒色のフロック
  • 微生物相の健全性
    • 原生動物(Vorticellaなど)の数と種類、活性
    • 死細胞の割合(染色観察で判別可)
    • 糸状菌の有無と構造(放線菌:細長く枝分かれした構造)
  • ガス泡の付着状況
    • 微細な気泡がフロックに多数付着していると、脱窒や腐敗由来の可能性

浮上試験による簡易評価

浮上試験による簡易評価も有効です。以下に、代表的な試験方法を紹介します。

<脱窒浮上試験>

  • 沈殿槽の汚泥を採取し、メスシリンダーに入れて静置観察します。30分以内に浮上が始まれば脱窒の可能性が高いと判断できます。
  • 浮上した汚泥を水で叩くとガスが抜けて沈降する(気泡脱離)ことも、脱窒浮上の特徴です。

<曝気試験(フロック解体チェック)>

  • 採取汚泥に強曝気を数分行い、その後の沈降性を確認します。沈降性が著しく悪化すれば過曝気の影響を確認できます。
  • DO回復速度が極端に遅ければ、自己酸化の進行が示唆されます。

<腐敗試験>

  • 汚泥を嫌気状態で24時間保持し、ガス発生と臭気を確認します。硫化水素臭があれば腐敗と判断できます。pHの低下も腐敗の指標となります。

汚泥浮上を防ぐ効果的な対策方法

原因が特定できたら、それぞれに応じた対策を実施します。複数の原因が重なっている場合もあるため、総合的な対策が必要です。

脱窒による汚泥浮上への対策

脱窒浮上を防ぐには、沈殿槽内での脱窒反応を抑えることがポイントです。そのために、硝酸性窒素の生成を抑制する工夫と、沈殿槽での嫌気化を防ぐ対策が必要です。

  • 硝化の抑制策(硝酸性窒素を減らす)
    • DO濃度を1.0〜1.5mg/Lに維持し、完全硝化を避け、部分硝化にとどめる
    • SRT(汚泥滞留時間)を短縮し、硝化菌の過剰増殖を抑制する
    • 緊急時には、硝化抑制剤の添加も検討されるが、処理水質への影響には注意が必要
  • 沈殿槽での脱窒防止策
    • 汚泥返送率を増加(目安:通常の50〜100%)させ、沈殿槽内の滞留時間を短縮
    • 沈殿槽入口で撹拌を強化し、残存DOを維持することで嫌気化を抑制
    • 汚泥界面を低く維持(1.0m以下)することで、底部でのガス発生を防止
  • 構造的な根本対策
    • 沈殿槽の前段に無酸素槽(脱窒槽)を設置し、沈殿槽前で脱窒を完了させる
    • 循環式硝化脱窒方式などに改造することで、窒素除去と汚泥対策を両立させる

過曝気による汚泥解体への対策

過曝気をの防止は、処理性能とエネルギー効率の両立に直結します。

  • DO濃度の最適管理
    • 適正範囲(1.0〜2.0mg/L)を維持する
    • 時間帯別の負荷変動に応じた曝気量制御を行う
  • 曝気方式の見直し
    • 間欠曝気の採用により、酸素過多の状態を防止
    • 微細気泡散気装置への更新により、酸素移動効率の向上と必要曝気量を削減する
    • 曝気槽を分割して段階的な曝気制御を行う
  • 汚泥濃度とSRTの調整
    • MLSS濃度を適正範囲(2,000〜3,000mg/L)に維持する
    • 適切な余剰汚泥引き抜きにより、汚泥齢(SRT)を最適化し、過曝気による自己酸化を防ぐ

腐敗防止対策

汚泥の腐敗を防ぐには、沈殿槽内で嫌気状態を作らせないことが最も基本的な対策です。

  • 滞留防止の運転対策
    • 汚泥返送量の見直し(返送率の増加)により、沈殿槽での長時間滞留を防止
    • 返送ポンプの運転時間の延長や、適切な運転間隔の調整
    • 汚泥の堆積・死角化を防ぐために、汚泥掻き寄せ機の点検・整備を実施する
    • デッドスペースの定期清掃により、堆積腐敗のリスクを軽減する
  • 沈殿槽構造の改善
    • 整流板の設置により流速の均一化を図り、短絡流による汚泥の停滞を防止する
    • 汚泥ホッパー形状の見直しにより、汚泥のスムーズな排出を促進
    • 定期的な汚泥引き抜き管理により、底部での腐敗進行を抑制する
  • 薬剤による腐敗抑制
    • 過酸化水素や次亜塩素酸ナトリウムの適量添加により、酸化環境を保ち嫌気化を防止
    • pH調整剤の使用により、腐敗を起こしにくい中性環境を維持
    • 薬剤添加時は、投与量や注入タイミングの管理が重要

放線菌対策

放線菌の異常増殖を抑制するには、中長期的な運転改善と負荷調整がポイントです。

  • 運転条件の最適化
    • SRT(汚泥滞留時間)を10日以下に短縮する
    • F/M比を0.1kg-BOD/kg-MLSS・日以上に維持するため、負荷に応じたMLSS制御と余剰汚泥の引き抜きを行う
    • 長時間の低負荷運転は避け、負荷変動に強い運転条件を維持する
    • 選択槽(セレクター)の設置により、糸状菌ではなくフロック形成性微生物を優先的に育成する
  • 薬剤の選択的添加
    • 次亜塩素酸ナトリウムの間欠添加により、放線菌を選択的に抑制
    • 過度な連続添加は有用微生物の死滅を招く恐れがあるため、添加頻度と濃度管理に注意する
    • 消泡剤の使用は一時的対策として有効。しかし、根本対策にはならないため、補助的に用いる
    • 凝集剤の見直しにより、スカム形成を抑え、フロック安定性を高める
  • 前処理の強化
    • 油脂分の除去強化により、放線菌の栄養源を削減する
    • スクリーンの目幅縮小により、油脂・固形物の流入量を最小化する

汚泥浮上対策における薬剤の活用方法

薬剤の活用は、汚泥浮上の発生時に迅速に対応できる即効性と、現場状況に応じた機動的な対処が可能な手段として有効ですが、汚泥浮上の再発防止や処理機能の安定には、曝気条件や負荷変動への対応など運転管理の見直しと並行して行うことが効果的です。コスト面も検討しながら、薬剤の即応性を活かしつつ、中長期的な安定運転につなげましょう。

凝集剤による沈降性改善

凝集剤は、汚泥の沈降性を改善し、浮上を抑制します。

凝集剤の選定基準として、ポリマーの種類(カチオン系、アニオン系、ノニオン系)、分子量と荷電密度、汚泥の性状との相性を考慮する必要があります。特に、無臭元シュアー100K-Sなどの高分子凝集剤は、即時沈降性改善効果が期待できます。

最適添加量の決定には、ジャーテストによる事前検討が不可欠です。実機での段階的な添加量調整により、最適条件を見出します。SVIやSS濃度での効果確認により、添加量の妥当性を評価します。曝気槽1m³あたり20〜50gのスポット添加から開始し、効果を確認しながら調整することが推奨されます。

活性微生物製剤の活用

活性微生物製剤は、汚泥の性状改善と処理能力向上に寄与します。

  • 無臭元シュアー100(標準曝気):単位汚泥量当たりの活性を高め、フロックの改質効果があります。流入水1m³あたり2〜5gの継続添加により、安定した効果が期待できます。過負荷対応やフロック性状の維持に効果的です。
  • 無臭元シュアー200(硝化促進):硝化能力の向上に特化した製剤です。硝化菌の活性を高め、安定した硝化処理を実現します。民間施設向けには、メルトラーゼシリーズとして同様の効果を持つ製剤が用意されています。

これらの活性微生物製剤は、薬剤処理の中でも環境にやさしく、持続的な効果が期待できる点が特徴です。微生物の働きを活用することで、自然な処理プロセスの強化が可能となります。

消泡剤の選定と使用方法

浮上汚泥が泡状スカムを伴っている場合、消泡剤により泡の破壊・沈降補助が可能です。

消泡剤の種類として、以下のものがあります。シリコーン系は即効性が高く、少量で効果を発揮しますが、過剰添加により処理水への影響が懸念されます。アルコール系は環境への影響が少ないものの、効果の持続性に課題があります。界面活性剤系は持続性がありますが、処理微生物への影響を考慮する必要があります。

使用上の注意点として、過剰添加は汚泥の性状を悪化させる可能性があることに留意が必要です。継続使用により効果が低下することがあるため、定期的な見直しが必要です。また、消泡剤はあくまで対症療法であり、根本原因の解決と併用することが重要です。

その他の薬剤

状況に応じて、以下の薬剤も活用されます。

  • 硝化抑制剤:アリルチオ尿素(ATU)などを使用し、一時的に硝化を抑制することができます。ただし、処理水質への影響を考慮し、緊急時の使用に限定すべきです。
  • 酸化剤:過酸化水素や次亜塩素酸ナトリウムにより、腐敗を防止できます。適切な添加量管理により、微生物への影響を最小限に抑えることが重要です。
  • pH調整剤:苛性ソーダや硫酸により、最適pHを維持します。特に腐敗による pH低下時には、適切な中和が必要です。
  • 栄養剤:微生物の活性を維持することも可能です。窒素・リンのバランスを適正に保つことで、健全な微生物相を維持できます。

トラブル時の緊急対応について

汚泥浮上が発生した際の緊急対応手順を整理しておくことで、被害を最小限に抑えることができます。

①初期対応の手順

汚泥浮上を発見した際は、迅速かつ的確な初期対応が重要です。

■状況把握

  • 浮上汚泥の量と範囲を確認する(どの沈殿槽で、どの程度の範囲で浮上が発生しているかを把握する)
  • 処理水質への影響度を評価し、SS濃度や透視度、pH、臭気などに異常がないか確認する
  • 発生時刻・気象条件・前後の流入水量の変化などもを記録する

■応急処置

  • スカムスキマーがある場合は稼働させ、ない場合は柄杓など手作業で可能な限り除去する
  • 放流水質の悪化が懸念される場合、一時貯留や循環ルートへ切り替える
  • 必要に応じて、薬剤を緊急投入する(浮上拡大防止)

■初動調査

  • 水質分析用サンプルを採取
  • DO、pH、硝酸性窒素、MLSSなどを測定する
  • 過去48時間の運転データ・薬剤投入記録の確認
  • 曝気槽・沈殿槽・返送設備の稼働状況や異常音なども点検

②段階的な対策実施

緊急度に応じて、以下の対策を段階的に実施します。

■第1段階(応急処置)

  • 汚泥返送率を通常の2倍程度まで増加させる(滞留防止)
  • DOを適正範囲(1.0~2.0mg/L)に維持する(曝気制御の最適化)
  • 余剰汚泥の引き抜きを一時停止し、系内汚泥量を確保

■第2段階(短期的安定化)

  • 凝集剤のスポット添加により、沈降性を迅速に改善
  • 沈殿槽の汚泥引き抜き強化により、汚泥蓄積を抑制
  • 流入負荷の調整(工場排水などの一時制御)

■第3段階(中長期安定化)

  • SRT、F/M比、MLSSの最適化など運転管理の見直し
  • 汚泥掻き寄せ装置の機械的点検、沈殿槽の死角洗浄
  • 再発防止を目的とした設備改善(整流板や空気供給設備の追加)

③再発防止と運転体制の見直し

トラブル収束後は、再発防止のための体制を整備します。

  • 監視体制の強化
    • 汚泥界面高さ、水質項目(DO、硝酸、SSなど)の定期モニタリング
    • 定期点検項目に「沈殿槽スカム発生頻度」を追加する
    • 簡易浮上試験や「浮上前兆サイン」の社内基準を策定 など
  • 運転マニュアルの整備
    • 「トラブル時の対応フロー」を手順化し、ドキュメント化する
    • 数値目標(例:返送率〇%、DO〇mg/L)を明文化する
    • 役割分担(誰が・何を・どの順で行うか)を明確化して共有する
  • 教育・訓練
    • 従業員への技術研修を定期的に実施
    • 汚泥浮上のメカニズムと対策の理解を深め、トラブル対応訓練により、実践的な対応力を養う
    • 事例共有と改善提案により、組織全体のレベルアップを図る

汚泥浮上でお困りなら無臭元へご相談を

汚泥浮上は、下水処理施設や産業排水処理施設において、処理水質の悪化や悪臭、規制基準の超過といった深刻な課題を引き起こす要因のひとつです。しかし、原因を的確に見極めた上で適切な対策を講じれば、再発防止も含めて確実な改善が可能です。

無臭元は、長年にわたり排水処理と臭気対策の分野で培ってきた技術とノウハウを活かし、汚泥浮上問題の解決をサポートしています。

とくに、脱窒反応による汚泥浮上や腐敗臭を伴う汚泥浮上でお困りの場合、当社の活性微生物製剤や消臭剤が効果的です。下水処理場やし尿処理施設はもちろん、民間工場での実績も豊富で、それぞれの施設特性に応じた柔軟なソリューションの提案が可能です。

汚泥浮上でお悩みの際は、ぜひ無臭元にご相談ください。お客さまの課題解決に向けて、費用対効果の高い対策をご提案いたします。

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