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コラム

下水管路(マンホール)の臭い対策は?予防する方法や事例を解説

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目次

(公開日:2025年4月24日)
下水管路は家庭や事業所から排出される生活排水・汚水を、下水処理場へ送る重要な生活インフラです。その一方で、下水管路内では嫌気状態が形成されやすく、硫化水素(H₂S)などの危険性ガスが発生する場合があります。これらのガスが、下水管路内に滞留したり、マンホールや排水口から漏れ出すことで、地域住民にとって大きな不快要因となるだけでなく、健康リスクや下水管路のコンクリート腐食による水漏れや道路などの地盤陥没事故の発生など深刻な事態を引き起こす可能性があります。

関連記事:悪臭防止法とは?規制基準や対策方法、改善事例も紹介

下水処理場は、全国に約2,200箇所あり、下水道管路の総延長は約49万kmに及んでおり、全国各地至るところに管路は存在しています。生活に身近なインフラであり、ひとたび臭気問題が発生すると地域のイメージダウンや生活環境への不満に繋がる恐れがあります。

また、硫化水素によるコンクリート腐食のリスクが顕在化すると、多くの地域住民の生活に影響が出ることはもちろん、補修や交換に巨額のコストがかかる懸念もあり、自治体や事業者にとって大きな課題となります。

この記事では下水管路(マンホール)から硫化水素などの臭いが発生する原因や臭気の対策方法について解説します。

下水管路(マンホール)から硫化水素などの臭気が発生する主な原因

下水管路やマンホールから発生する臭気の主原因は硫化水素です。この硫化水素がどのように発生するのか、その主な原因を詳しく見ていきましょう。

1. 嫌気性分解による硫化水素の発生

下水管路内では、汚水に含まれる有機物が微生物によって分解されます。酸素が少ない環境(嫌気状態)では、嫌気性菌(通性嫌気性菌、偏性嫌気性菌)などの微生物が活性化します。特に硫酸還元菌は、酸素の代わりに硫酸塩(SO₄²⁻)を利用して有機物を分解する過程で硫化水素を発生させます。
この現象は特に以下の条件で起こりやすくなります。

  • 流速の低下:傾斜が緩やかな場所や、計画流量に対して実際の流量が少ない場所では、下水の流れが遅くなります。これにより汚泥や有機物が沈殿し、嫌気状態が形成されやすくなります。
  • 水温の上昇:夏季など水温が上昇すると、微生物の活動が活発になり、硫化水素の発生量が増加します。特に気温が25℃を超える環境では、硫酸還元菌の活動が活発化することが知られています。
  • 滞留時間の長期化:圧送管や伏せ越し工法の管路など、下水が長時間滞留する場所では、溶存酸素が消費され、嫌気状態になりやすいです。

2. 処理物にもともと硫化水素が含まれることによる発生

工場排水や事業所からの排水には、すでに硫化水素や硫化物を含む場合があります。たとえば、以下のような事業所からの排水は注意が必要です。

  • 食品加工工場(特に魚介類の加工)
  • 紙・パルプ工場
  • 染色工場
  • 化学工場
  • 石油精製所

これらの排水が下水管路に流入すると、既存の硫化物が酸性環境で硫化水素として放出されることがあります。

3. 有機物の堆積や油脂などの蓄積による腐敗

管路の構造上の理由で有機物が堆積したり、家庭や飲食店から流される油脂や食物残渣が下水管路内に蓄積すると、これらが微生物によって分解される過程で悪臭が発生します。特に問題となるのは以下の要因です。

  • デッドスペースの存在:管路の構造上、流れが滞りやすい場所(伏せ越しやマンホール底部の堆積など)では、有機物が蓄積し腐敗しやすくなります。
  • 油脂の付着:油脂は水に溶けにくく、管壁に付着して硬化します。これが「油脂塊」となり、下水の流れを阻害するとともに、腐敗の原因となります。

これらの原因が複合的に作用することで、下水管路内の硫化水素濃度が上昇し、マンホールや通気口から臭気が漏れ出す結果となります。特に「悪臭防止法」で規制対象となっている硫化水素は、その特有の「腐った卵」のような臭いで、非常に低濃度(0.00041ppm程度)でも人間が感知できるため、わずかな漏出でも苦情の原因となる可能性があります。

下水管路の硫化水素発生によるトラブルや事故事例の紹介

硫化水素の発生は単に臭気問題だけでなく、さまざまな深刻なトラブルや事故の原因となります。以下に代表的な事例を紹介します。

健康被害とリスク

硫化水素は極めて有毒なガスであり、濃度によって以下のような健康被害をもたらします。

  • 低濃度(10~15ppm):6時間の曝露で眼に炎症を起こします。日常的に臭気問題が発生している地域では、住民の長期的な健康不安にもつながります。
  • 中濃度(200ppm):5~8分後に眼、鼻、咽喉粘膜に灼熱性疼痛を覚えます。
  • 高濃度(500ppm):準急性中毒を起こし、15~30分以内に眼瞼刺激、嘔吐、冷汗、下痢、呼吸困難、動悸、頭痛、歩行困難、意識不明等の症状が現れ、長時間曝露すると気管支炎や肺炎に発展する恐れがあります。
  • 致死濃度(1000~1500ppm):急性中毒により失神、痙攣、呼吸停止、致死状態に至ります。

実際、日本国内でも硫化水素による中毒事故が発生しています。たとえば、2025年3月、マンホール内で下水道管の取り替え工事を行っていた作業員3名が、硫化水素中毒と思われる症状により死亡する事故が発生しました。これまでも、下水道作業中に硫化水素中毒による死亡事故が数多く報告されており、このような事故は適切な安全対策が講じられない場合に繰り返される危険性があります。

住民からの苦情と自治体の対応負担

下水管路からの臭気は、住民生活の質に直接影響を与え、自治体への苦情の大きな原因となります。

環境省の調査によると、悪臭に関する苦情は年間約13,000件あり、下水道に関連する苦情も少なくありません。特に夏季や気温の高い時期には苦情が集中し、自治体の対応負担が増大します。一度苦情が発生すると、問題解決までに相当の時間とコストがかかることが多く、自治体のイメージダウンにもつながります。

2011年の東日本大震災時において、下水道施設が大きな被害を受け、深刻な臭気問題が発生した自治体の事例があります。地域の広範囲で下水道管が破損し、約500ヘクタールの範囲で排水不良が発生しました。

被災直後、行政は緊急対策として滅菌処理した汚水を河川へ直接放流せざるを得ない状況となりました。しかし、この措置により周辺住宅街で強い臭気が発生し、硫化水素等の危険性ガスによる安全上の問題も生じました。

この時は、無臭元が行政から依頼を受け、消臭剤を用いた臭気対策ソリューションの提供を行い、硫化水素等の臭気の低減に成功し、周辺環境の改善を支援させていただきました。

無臭元の硫化水素などの臭気対策方法

下水管路やマンホールなど様々な現場で発生する硫化水素による臭気問題には、効果的な対策が必要です。実用的な対策と薬剤の活用について紹介します。

1. 薬剤の活用:消臭剤の活用

製品例と薬剤の効果や使用例

硫化水素対策に使用可能な製品例と薬剤の効果や使用例について紹介します。

製品例効果・特長使用例・適用場所
・無臭元AF010-SZ
・無臭元SD
・無臭元アルファー50D
・ムシュウゲンLY-X
・管路内の硫化水素生成抑制
・下流施設への影響軽減
・反応が迅速で効果が即時に現れる
・長期的な効果が期待できる
・ポンプ場から添加
・無臭元消臭シートK230・複合臭にも効果を発揮
・幅広い用途に適用可能
・臭気発生の要因となっている対象物に覆い被せる
・動力不要で使用できる
・ムシュウゲンAB095-SC・臭気発生している対象エリアに噴霧
・ラバトリアンWP
・ラバトリアンWPF
・緊急時の硫化水素などの臭気対策
・動力不要で使用できる
・無臭元P014-UZ(顆粒)・環境に及ぼす影響が極めて低い
・徐放作用があり、長期間の効果の持続が期待できる
・簡易放流時に河川へ直接添加
・側溝や下水流入などの汚水に添加

2. 臭気の測定と評価

効果的な臭気対策には、精度の高い測定・評価が欠かせません。主な方法には以下があります。

  • ガス検知管法: 特定物質の簡易測定(現場での即時確認用)
  • 硫化水素計: 連続測定による変動把握(危険場所での遠隔測定可能)
  • 官能評価法: 臭気指数、臭気強度、快・不快度による人の感覚に基づく評価
  • ガスクロマトグラフィー: 特定悪臭物質の高精度分析(原因物質特定用)

効果的な対策実施のためには、対策前後での測定結果の比較が重要です。特に、薬剤添加前後の硫化水素濃度変化や臭気指数の改善度を確認することで、対策効果を客観的に評価できます。

無臭元の臭気対策事例はコチラ

臭気でお悩みの場合は無臭元までご相談ください

下水管路やマンホールからの臭気問題は、放置すると住民の生活環境悪化や施設の劣化につながる重大な課題です。しかし適切な対策を講じることで、効果的に問題の解決が可能です。

無臭元では、60年以上にわたる臭気対策の専門知識と実績を活かし、お客さまの臭気問題を解決するためのトータルサポートを提供しています。

下水管路やマンホールの臭気でお悩みの方は、ぜひ無臭元までご相談ください。

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